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執筆者の写真英伸 後

出面管理システムを用いた建設業出来高管理①

「出面管理システムを用いた建設業出来高管理について」というテーマで建設業界におけるIT利用の考察を行います。


まず建設業における出面管理


建設業とは土木建築に関する工事で、建設業法に規定する建設工事の種類にある工事の完成を請け負う営業を指します。

要するに建設業法で定められた、土木工事、建設工事、大工工事、左官工事、電気工事、管工事、、、こういった工事を看板に掲げて行う仕事、ということになります。

施主、元請、下請け というヒエラルキー構造が顕著な業界です。

つまり、企業や行政機関などの施主が、ゼネコンなどの元請業者に事業を発注し、専門技術を持つ下請けに仕事を出す。

元請は全体の管理に責任を持ち、下請けは請け負った仕事の内容に責任を持つ。

下請け構造は二重、三重になっていることもあります。


出面はでめん、あるいはでずらと呼びます。

今ではあまり見かけることがすくなくなりましたが、建設事業で元請が直接自社、あるいは自社外の作業員を集めて工事を行うケースがあります。

その際の賃金は作業日数に労務単価をかけて作業員個人に支払われます。

この作業日数を出面といいます。

この作業日数をカウントして記録するのが出面管理です。

それを日々記録したものが出面帖とよばれるものです。


出面管理の本来の目的は

今ご紹介した

-賃金管理

です。

ただし、先ほど触れたように、元請が直接作業員を集めることは少なくなっていますし、元請と下請け間の契約も請負形式が主流になっていて、この場合作業日数や人数で支払い額が変わるわけではありません。


現在では出面はむしろ


-安全管理 

 これは、現場への入場者の把握。あと、現場にいくと連続安全稼働日数というのが表示されていますが、これは工程上の日数ではなく、工程上の日数に作業員の人数をかけたものです。

-協力会社における労務管理 

 これは、出面というのは下請け企業にとっては従業員の勤務記録表ということになるわけですから、まさに労務管理のコアな情報ということになります。


こうした管理に用いられています。



このように出面は非常に重要な情報なのですが、もっと生産的な管理に用いられてもよい。そんな印象があります。

そうなっていないのは現在の出面管理にいろいろと運用上の課題があるのだと考えます。


基本的に出面は

-日報や月報という自己申告の形で提出され、集計されています。

このため

-出面の提出や集計に時間がかかりリアルタイムな情報にならない

という課題が残ります。

例えば、先ほど、安全管理に触れましたが、現状では入退場者の情報はあくまで履歴としてしか管理できていません。

出面がリアルタイムに把握できれば、誰が何時に現場にはいって何時の時点でまだ現場にいる、あるいはすでに退場済み、といった動的な情報により、臨機応変な対応がとれます。

19時現在でまだ退場していない人がいたら、なにか現場でトラブルになって、退場することができていないんじゃないか、とか。

事情があって深夜残業をしていた人が、翌朝朝一番で出勤していたら、健康管理は大丈夫か?とか


この講義の本題である出来高管理というのも月末に一度とか、集計してから1週間後とかといったタイミングで情報が集まってもあまり意味がありません。

動的な情報を掴むことでPDCAのサイクルを回したり、危険を予知したりといったことができるわけです。


次に

-自己申告を基本としているので正確性に欠ける。

という課題もあります。


出面は下請け事業者にとっては自社従業員の勤務記録表になります。

勤務記録表は労務管理のコア情報で、その労務管理は現在働き方改革などの流れにさらされています。

これは建設業だけではなく全産業にわたっていえることです。

働き方改革は少子高齢化のなか、女性や高齢者の潜在力を活用し、現在の労働環境を改善させて日本全体の生産性を向上させ、最終的には出生率を向上させていこうとするものです。

その政策の骨子に労働時間の短縮というのがあり、そのための労務管理が求められています。

労働時間の適正な把握というのもそのひとつで、厚労省のガイドラインでは自己申告をベースにしたあいまいな労働時間の把握は望ましくない、とあります。

出面を労務管理に活用するためには自己申告という現状を改善する必要があります。


※建設作業者は 事業場外労働みなし制 の対象とはならない。出先ではあっても勤怠を申告するすべがあり、それをチェックする管理者がいることになっているから。


もう一つの課題が

-記録媒体が紙なので保存や再利用に難がある。

です。

出退勤管理ではタイムレコーダーやパソコンなど、データを電子的に登録する方法がありますが、建設現場は屋外であったり、電気のまだ通っていない場所だったりして、これらの方法がとれません。

他の管理に出面を利用しようとすれば日報などの紙媒体をひと手間かけてデータ化する必要があります。

この手間と時間が出面を創造的に活用しようか、という意欲に水を差すわけです。


今、こうした課題をクリアするために出面管理の自動化が求められています。

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