ここまでEVMを中心に出来高管理とその有用性についてご紹介してきました。
しかし日本の建設業におけるEVMの普及はあまり進んでいません。
その理由としては、すでに出来高管理の手法が大手ゼネコン中心に個別に確立している、とか。
投入コストの追跡が難しいとか、いろいろなものがあります。
しかし一番大きいのは
-工程間の関係性を反映させることができない 点にあると思われます。
つまり計画段階にしても、実績にしても
-出来高という数値に一旦集約してしまうと、工程の中身や工程間の連携が把握できない わけです。
例えば
-クリティカルパス上の出来事も非クリティカルパス上の出来事も同一の価値に見えてしまう
つまり遅れてはいけない工程が遅れていても、遅れても構わない工程が予定より進んでいたら、全体としてクリティカルパスがピンチであることが見えなくなってしまう、ということになります。
また
-費用や人工といった単一価値で評価を行うので工程毎にばらつきのある投入資源の重みの違いを反映させにくい
実際の建設現場では特定の技能集団や特定の機械など、運用がうまくいかないとそこが突然クリティカルパスになってしまうような資源があります。
こうした資源を使う工程も同じ基準で出来高を積み上げてしまうと先ほどと同じように、この工程の重要度が隠れて見えなくなってしまいます。
こうした問題が複雑で規模も大きい建設プロジェクトでは重要になってきます。
ただ、こうした課題も、工程をネットワーク化して、それぞれの工程に紐付ける計画出来高、実績出来高の数値にウェイトを置くことで解決が可能です。
しかし、この手法も準備や集計がかなり大きな負荷になります。
それであっても
-工程の進捗状況を関係者に共通の基準で可視化できる
EVMの特徴は有益です。
建設現場は
-人出不足により
-現場の施工管理者は若年化 し
-その責任は益々重くなる 傾向にあります。
彼らを現場で孤立させない つまり
-1つのプロジェクトを組織、つまり面で支える体制の構築が、見える化と情報共有のを効率化させる 一番大きな目的であるわけです。
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