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  • 執筆者の写真英伸 後

出面管理システムを用いた建設業出来高管理④

DMENで収集された出面情報を用いた出来高管理について、簡単な演習を行いながら紹介してゆきます。

EVMおよび、その用語については「出面管理システムを用いた建設業出来高管理③」を参照してください。


まずPV曲線を描くための準備をします。


最初に行うのは

-作業分割構成(WBS)を設定することです。

WBSはWork Breakout Structure の略で、工程を管理可能な単位に分割して表にしたものです。

大項目、中項目、小項目と下がるにつれ工程の単位は細かくなります。

最も細かい項目をWP WorkPackage と言います。

WBSの例がこの表です。この左端の部分がWBSになります。

WPの細かさは工事規模によります。大規模工事でWPを細かくしすぎると管理が複雑になり逆効果です。


次に行うのが

-工程表を作成する ことです。

工程表の例が同じくこの表です。右半分が工程表に相当します。

工程表には、この表のようなバーチャート工程表であるとか、工程間の関連性まで記述されたネットワーク工程表などがあります。


次に行うのが

-出来高・実工事費の算定方法 の決定です。


ここでは

-出来高、実工事費の算定単位として人工(人日)を採用します。

本来はEVMにおいてはコスト、つまり金額が算定単位として用いられます。

しかし人工は本来の実コストとの相関性が強く、現場の進捗の実力地を反映させやすい指標です。

かつ、人工であれば自動的に収集される出面情報をダイレクトに使うことが可能です。

こうした理由で諸々の算定単位として金額の代わりに人工を使うわけです。


次に

-計画出来高(ベースライン)を設定 します

計画出来高、つまりPVを算定します。


計画出来高を算定する元データとして、この表のような労務配分表を利用します。

労務配分表にはいろいろな形式がありますが、この表は先のバーチャート工程表の帯部分に投入人工が記載されています。

これを日毎に集計すると人工ベースの計画出来高の元になります。


PVでは日毎の人工の累計をプロットしてゆきます。

グラフは折れ線グラフを選択します。

味気ないですがExcelを使うと簡単にグラフ化できます。


次に実工事費ACをプロットします。

何度も話しましたが、ここでは費用ではなく実投入人工を用います。

ここは出面のデータがダイレクトに使えます。


まずDMENのWEBサイトから対象工事の出面をダウンロードします。


-この表のようにCSVでダウンロードできますから、これをExcelに変換して、集計を行います。


出面の集計は簡単です。

Exclに変換した表では作業時間は時間になっているので、これを日数に変換します。

日数への変換は作業時間を8時間とか、昼休みを勘案して9時間とかで割ればいいです。

ただ、計算式の/の先に8:00とか入れても式はこれを数値として認識してくれませんので、どこか安全なセルに8:00といれて、そのセルを分母指定するのがよいです。

そうして変換した日数の列を挿入します。


そのうえで安全なスペースにカレンダーを作ります。

横でもいいですが、作業性の面でカレンダーは縦にして、カレンダー列を作ります。

それからその日日がはいった列の右にSUMIF関数で出面表の日付が左セルの日付に合致する行の日数を集計します。


このカレンダー列と集計日数の列をピボットで横にして、先ほど作ったPV 計画出来高の表に張り付けます。


それをグラフにすると実工事費ACのグラフが出来上がります。


次に出来高を集計します。

出来高も単位は人工です。


まず先ほど計画出来高PVを作るときに使った労務配分表を引っ張り出します。

そして、工程、あるいは工事区分毎に想定していた予定人工を集計しておきます。

この予定人工はその工程が完了した時点で投入されているべき人工になります。

これを実際の工程の進捗状況に合わせて加算してゆきます。

工程の進捗が計画と全く同じであれば、出来高は計画出来高と完全に一致しますし、

工程の進捗が計画から遅れているとすれば、その出来高の加算が計画出来高より後にずれるわけで、それが工程差異SVに相当するわけです。



実際の工程の進み具合を抽出するために、今度はまたACで使った出面表を引っ張り出します。


出面表を工事区分、ここでは枝番がそれに相当します、そして年月日の順でソートします。

そして、同じ枝番が並んでいる最下行、つまり各工事区分で最も進んだ日付行だけ残し、残りは全部消去します。

残った行の右端にさきほど労務配分表で枝番毎に紐付けておいた予定人工を張り付けます。

張り付けは手で張り付けても構いませんし、VLOOKUPなどを使っても構いません。


そして安全なエリアにカレンダー列を作って、そのカレンダーの日付毎にSUMIFで予定人工の集計をします。

そして、集計した日毎の人工の累計列を作り


それをピボットで横向きにして

先ほどのPV,AC表の下に張り付けます。これが出来高EVに相当します。

同じくExcelでグラフを作成するとEV曲線がプロットされます。




これでEVMの表とグラフの完成です。


今日は、ここまでの作業、Excel上で手作業で行いましたが、これらの作業はVBAマクロを使うことで大いに省力化が可能です。


ここまでEVMに必要な各項目の算定とグラフを作成しましたが、EVMの目的はグラフを作ることではありません。

EVMの目的は、EVMで得られる各種の指標をモニターすることで、建設プロジェクトの工程とコスト管理を適正化することです。


そのためには着工前にそれら各指標について評価基準を固めておく必要があります。


たとえば先ほどご紹介したSPI。

これは出来高の対計画出来高比ということになりますが、これが0.9を切ると工程の見直しや人工の集中投入を行う、とか事前に対応策を準備するわけです。

このことより、関係者の問題共有が迅速かつ客観的にできます。


あと、右の図はBull’s Eye Chartと呼ばれるものです。

例えば、SPIが下がり気味、つまり工程が遅れ気味、であった場合にもいろいろな要因があります。

単純な工程遅れであれば、投入コストも予定以下であるはず。そうした場合はコストや人工の集中投入を行うことでスケジュールの挽回は可能なはずです。

一方、SPIが落ちているのに投入コストが落ちていない、あるいは超過気味であったとすれば、これは何らかの深刻な問題が現場で起こっている可能性があります。

このコスト投入の度合いを示すのがCPI

Bull’s Eye ChartはこのSPIを横軸、CPIを縦軸にとって工程とコストのバランスを一目でわかるようにした図です。

EVMであればこうしたものも使えるわけです。




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